ビジネス・投資ガイド

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■ 小規模発電(水力、太陽光)
水力発電の項目では、主に大規模ダム建設に関して紹介しました。そこでも言及した通り、水力発電はラオスの主力産業となっており、電力は鉱物資源、縫製品、木材・木材加工品に次ぐ輸出品目です。しかしその一方で、ラオス国内の山岳地帯には未だに電気のない生活を強いられている人々が数多く存在しています。2004年時点で、農村地域の電化率はわずか44%に留まっていると言われています。国土の割に人口が少ないラオスにおいては、発電所を建設して送電線を延ばしていくという方法は、電力需要密度が希薄な農村部では投資効率が悪く、なかなか進まないのが実情です。そこで注目されているのが、小規模ダムや太陽光発電によって村落単位で建設、運転、維持管理が可能な独立型発電システムを作るという取り組みです。

水力発電というと巨大なダムをイメージしがちですが、すでにラオスやベトナムの農村部では10kw(100戸程度の電力消費量に対応)程度の小型の水力発電施設によって村落単位での電力需要を賄っているケースが見られます。ここではトラックが通れないような田舎の狭い道でも運搬できるように装置を小型化、軽量化し、コストの削減や故障時の修理の簡易化のため国産化、標準設計化といった工夫がなされています。10kw規模の水力発電であれば、発電施設のほか送電線や電柱を含めて2万~2万5000ドル程度の費用、約1ヵ月半の期間で建設が可能です。

ただし、問題は建設後の発電所を長期間無事に運転し続けることです。そのためには操作方法やいろいろなトラブル解決法について住民がある程度習熟する必要があり、運転開始後の住民のトレーニングや自主的な運営体制の構築こそが最大のポイントとなります。

太陽光発電も近年の飛躍的な技術向上によって低コスト化、メンテナンスの簡易化が実現し、家庭単位や村落単位での小規模発電に適した発電システムとして徐々に広まっています。

太陽光発電で最も一般的に知られているのが、太陽電池パネルを各家庭に設置するSolar Home Systemと呼ばれるモデルです。これはバッテリー運搬の手間がかからない点では便利なシステムですが、最近ではより低所得者向けのモデルとしてBattery Charging Stationというシステムが再評価されています。これは大容量太陽電池パネルを持つ設備を建設し、多数のバッテリー充電を集中的に行い、住民がそれぞれバッテリーを自宅に持ち帰って利用するというものです。このモデルのほうが太陽電池パネルの利用効率が高く、管理・運営も容易です。さらにそれを応用したモデルとして、診療所などの公共施設に太陽光発電システムを導入し、その施設での電気利用を行うとともに住民が保有するバッテリー充電利用にも活用するというCommunity Solar Systemも今後さらに広まっていくと考えられます。

太陽光発電のシステム太陽光発電のシステム

懸念点として挙げられるのが、バッテリーを買うために必要な30~40ドルの資金を住民がまかなえるのかという問題ですが、ラオスでは多くの家庭が急な出費に備えて家畜の飼育を行っており、それを売ることで資金を確保することが可能です。

小規模発電システムを構築する前提条件として、貧しい村落が主な対象となるので建設費用が安いということ、建設後の維持管理を住民自身ができるように操作が容易でしかも故障した場合でも簡単に修理できるようなシステムであることが重要ですが、以上に見たように水力、太陽光による発電はそれらを満たした持続可能な発電システムだと言えます。しかもこれらは自然エネルギーを活用した環境負荷の少ない方法として、今後一層その価値が見直されていくことが予想されます。

電気が通ることによって、夜間作業が可能となり、織物や食品加工といった家内作業の活性化、商店や飲食店の営業時間延長による売り上げ拡大といった住民の所得水準向上をもたらすことができます。さらに、医療施設や教育施設が電化されることでコミュニティ開発が進み、テレビ・携帯電話、さらにはPCなどの普及を促進することで生活レベルの向上を高めることが可能となります。途上国の開発において、電気が果たす役割は非常に大きいと言えるでしょう。

特に太陽光発電に関しては、日本は世界でも最も太陽光発電を利用している国のひとつであり、太陽電池パネルを世界中に供給している国であることから、大きな強みを持っていると言えます。その技術を活かしてラオスの人々の生活向上に貢献していくことが日本に求められている役割であり、同時に私たちにとっての大きなビジネスチャンスでもあるはずです。

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引用元:
鈴木基義著『ラオス投資ガイド』日本アセアンセンター発行。2007年。p. 71.
財団法人地球環境戦略研究機関『要約・京都議定書』水野勇史著 2007年
財団法人地球環境戦略研究機関『図解・京都メカニズム』水野勇史著 2007年
環境省、財団法人地球環境センター『 CDM/JI 事業調査 事業実施マニュアル 2006 』
JICA 『太陽光発電プロジェクト利用地方電化の課題と可能性に関する調査(プロジェクト研究)報告書』プロアクトインターナショナル株式会社 2005年
国際協力銀行『ラオスの投資環境』 2007年

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