ビジネス・投資ガイド

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■ 工場の省エネルギー化
日本の製造業においては生産合理化の一部としてエネルギー節約はどこの工場でも行われていますが、途上国では一般に設備が旧式で、エネルギーに詳しい技術者が少ないため省エネルギー活動は非常に遅れています。このため、今後エネルギー消費が急速に拡大する途上国での省エネを推進していくことは非常に重要な課題となっています。ラオスにおいては、日本の協力のもとビール工場の省エネ化によって温暖化抑制に貢献したプロジェクトがラオスで初のCDM案件の認証を受けています。このプロジェクトは途上国における中規模工場の省エネのモデルケースと言えるもので、製造業部門における環境ビジネスの機会を探す上で多くの示唆を与えてくれます。

ラオスで人気のビール、ビアラオ
  ラオスで人気のビール、ビアラオ
プロジェクト対象となったラオスのLao Brewery社はビアラオというブランドのビールを生産しており、このビールはラオス国内で人気が高く、同社の生産量は毎年10%近い伸びを示しています。最近ではコンクールで金賞をとるなどアジアで最高のビールという評判も出て、さらに売れ行きを伸ばしているようです。このように業績は好調ですが、製造過程での重油消費量が非常に大きく、省エネについてはこれまでほとんど手をつけていなかったのです。

そこで日本の企業が調査・提案を行い、製造工程で発生する蒸気を高性能ヒートポンプで再圧縮して加熱し再利用するというシステムを導入、ボイラーの重油消費量を20%以上削減することに成功しました。近年の原油価格高騰によって省エネのメリットはますます大きくなっており、日本の省エネ技術を途上国に移転することで経済的な効果と地球環境への負荷軽減を両立させた成功例となっています。

このプロジェクトは2007年1月にラオス政府から、2月に日本の経済産業省から承認を得た上で、4月に正式にCDM案件として登録されました。日本では118番目、ラオスでは初のCDM案件となり、今後10年間で約3万トン相当の炭酸ガス削減クレジットを取得できる予定です。

CDMの認証を受けるためには非常に厳格な規定に従う必要があり多くの困難を伴います。それゆえに、ラオス側の企業・政府と緊密な議論を重ね、強い信頼関係を築くことが重要となります。このビール工場の事例も、CDM登録までの過程で地域住民も含めた関係者間での会議を開催したり政府のアドバイザーとしての役割を果たしたりと、地道な努力が実を結んだものでした。こういった努力こそが今、世界で最も高い環境技術を誇る日本に求められていることなのではないでしょうか。

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引用元:
鈴木基義著『ラオス投資ガイド』日本アセアンセンター発行。2007年。p. 71.
財団法人地球環境戦略研究機関『要約・京都議定書』水野勇史著 2007年
財団法人地球環境戦略研究機関『図解・京都メカニズム』水野勇史著 2007年
環境省、財団法人地球環境センター『 CDM/JI 事業調査 事業実施マニュアル 2006 』
JICA 『太陽光発電プロジェクト利用地方電化の課題と可能性に関する調査(プロジェクト研究)報告書』プロアクトインターナショナル株式会社 2005年
国際協力銀行『ラオスの投資環境』 2007年

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