ビジネス・投資ガイド

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昨今、地球温暖化を中心として環境問題に対する関心が世界的に高まっています。同時に、CDM(クリーン開発メカニズム)という形で環境対策をビジネスの文脈に組み込む仕組みが登場し、企業セクターによる環境ビジネスへの投資が加速しています。ラオスにおいても環境保護、特に地球温暖化防止に貢献し同時に経済的利益を得られるようなビジネスが今後大きな投資機会となってくることが考えられます。ここではCDMの活用を視野に入れながら、今後投資対象として考えられる環境ビジネスの例を具体的に考えていきます。

京都メカニズムの概要
  京都メカニズムの概要
■ CDM 広がる環境ビジネスの可能性
クリーン開発メカニズム(CDM)とは、京都議定書に基づいて国際的な協力を促進し、温室効果ガス削減をより柔軟に行うための経済的メカニズムのひとつです。

京都議定書では、附属書I に掲げられた先進国による温室効果ガスの排出量削減の数値目標が定められています。しかし日本などの国ではすでにエネルギー使用効率がかなり高く、これらの数値目標を国内のみで達成することは困難と言われており、また効率改善の余地の多い国で取り組みを行ったほうが経済的コストも低くなることから、他国内での削減実施に投資を行うことが認められています。その具体的な制度のうち、京都議定書により温室効果ガス排出削減が義務づけられている先進国と削減義務を有していない発展途上国の間での温室効果ガス削減スキームがCDMに当たります。すなわちCDMは、プロジェクトの実施を通じて先進国の削減目標達成の支援と途上国の持続可能な開発への貢献を目的としています。

具体的には、先進国が発展途上国と協力して温室効果ガス削減プロジェクトを行い、その結果生じた排出削減量(または吸収増大量)に基づいて発行されたクレジットをプロジェクト参加者間で分け合います。このクレジットを排出権として活用することで、先進国は京都議定書によって規定された総排出枠を増やすことができます。総排出枠が増大することから、CDM プロジェクトはCDM 理事会が定める厳格な規則に従わなければならず、その手続においては第三者機関による調査及び審査、そして理事会の承認が必要となります。

CDMに関わる多様なビジネス
  CDMに関わる多様なビジネス
このメカニズムに関する制度が国際的に整備されたことで、様々な関連ビジネスが活性化し、民間ビジネスに新たな展開をもたらしています。例えばODAや環境関連のプロジェクト経験者がCDM事業に関するアドバイス、プロジェクト設計書の作成、排出量取引購入協定の締結の手伝いをする環境コンサルタント業が生まれています。またエネルギー系会社、メーカー、建設会社、総合商社などは実際に省エネ等のプロジェクトサイトにおける施設・設備の導入・運営・管理の技術や経験を生かして、各種のプロジェクトを実施しています。 さらに、クレジットの買い手と売り手のニーズに基づいて両者の仲介をする排出権取引ブローカーや、投資先となる途上国の詳細な情報や炭素クレジットの動向などを提供する情報サービス、プロジェクトへの融資とそれに伴い必要となるリスク分析等を行う金融業務、各種契約文書締結に関わる法務といったサービスなども関連ビジネスとして発展しつつあります。

排出権取引は当初EUにおいて発達してきましたが、昨今では日本においても非常に注目を集めつつあります。経済産業省のまとめによれば、CDMをはじめ国が承認した排出権削減事業がこれまでで235件にのぼり、2008~12年に日本の国内企業が海外から取得する排出権が年平均で1億トンを超える見通しになったそうです。

日本は世界でもトップクラスの環境技術を誇っており、CDM等の仕組みが整い環境問題への関心が世界的に高まりつつある中、その技術やノウハウを活かした環境ビジネスを海外で積極的に展開していくことが求められていると言えます。それによって日本の競争優位を活かした経済的な利益を得ると同時に、途上国の持続可能な発展と世界規模での地球環境保全に貢献することができるのです。

インドシナ内陸の途上国ラオスにおいても、環境ビジネスの可能性は様々に広がっています。ここでは、CDMを活用したクレジット獲得を視野に入れつつ、企業がプロジェクト主体として温室効果ガス排出量削減に貢献するタイプのビジネスモデルとして考えられる代表的な事例を農林業、製造業、エネルギー分野にわけて具体的に提示していきます。

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引用元:
鈴木基義著『ラオス投資ガイド』日本アセアンセンター発行。2007年。p. 71.
財団法人地球環境戦略研究機関『要約・京都議定書』水野勇史著 2007年
財団法人地球環境戦略研究機関『図解・京都メカニズム』水野勇史著 2007年
環境省、財団法人地球環境センター『 CDM/JI 事業調査 事業実施マニュアル 2006 』
JICA 『太陽光発電プロジェクト利用地方電化の課題と可能性に関する調査(プロジェクト研究)報告書』プロアクトインターナショナル株式会社 2005年
国際協力銀行『ラオスの投資環境』 2007年

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