ビジネス・投資ガイド

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■ 海外からの投資状況
以上のように農産地として高い優位性を持ったボロベン高原をはじめとして、ラオスの各地でタイ・中国・ベトナムを中心に海外からの農業分野への投資が増加しています。

その背景となっているラオスの魅力として、まずこれまで述べてきたとおりボロベン高原をはじめとして有機分を多く含む肥沃な土壌、害虫の少ない気候特性により有機栽培が可能であることが挙げられます。最近では一部農薬を使用する農家も増えているようですが、完全な有機でなくともタイ等に比べて少ない農薬・肥料で有機に近い栽培で安定供給体制を維持することが可能です。

  農業分野への海外直接投資
(2000〜2006年1月累計)
順位 国名 投資額(千ドル)
1 タイ 606,538
2 ベトナム 469,818
3 フランス 415,655
4 オーストラリア 340,978
5 中国 278,469
6 マレーシア 83,338
7 韓国 60,371
8 カナダ 46,960
9 シンガポール 40,470
10 スイス 31,050
11 アメリカ合衆国 15,255
12 日本 10,046
  (出所)Statistical Yearbook 1975-2005
また、人口が少なく土地が豊富にあるため、未利用地を容易に発見できる上に地代もきわめて安価なことも大きな強みと言えます。広大な土地を効率的に利用すれば生産性は大きく向上することが見込まれるでしょう。特に東西回廊をはじめとした周辺国との間の道路インフラが整備されつつあることによって、ますますその利点が活かされていくでしょう。

さらにラオスの農産物・加工食品などを輸出する際、特恵関税や税金減免の面でタイ・ベトナムより優位にあると言えます。タイの労働者に比べ1/3から1/5の賃金と言われる安価な労働力も魅力です。土地の借用期間が最長50年と長いことも挙げられます。

そういった様々な優位性のもとで、具体的にどういった投資が増加しているのか、具体的に見ていきましょう。農業分野への海外直接投資総額は年間で1億8000万ドル程度となっており、増加傾向です。2000年から2006年1月までの投資額累計では、タイが最大の投資国となっており、ベトナム、フランス、オーストラリア、中国が続きます。なお、タイからの投資が累計6億ドルを超える一方で、日本からの投資額は1000万ドルと低位に留まっています。

農業・農産物加工向けの外国投資はいくつかのタイプに分けられます。まずは自然育成した農産物を活用した現地加工工場の運営で、具体例としてはタイ資本による竹の子、ベビーコーン等の採取・缶詰の加工が挙げられます。この企業は製品を全量タイに持ち込み、タイ国内で販売しています。

大規模農場
  大規模農場
次に、加工用原料の安定確保を目的とした契約栽培を含む現地農場の経営です。例としてはタイ資本によるトマトの契約栽培、大規模ばれいしょ農場の経営、ベトナム資本によるコーヒー農園の経営・乾燥・脱穀などが見られます。それぞれ、輸出先でポテトチップスやトマトペーストなどに加工され、主にタイ・ベトナム国内向けに販売されているほか一部は周辺国や欧州などにも輸出しています。特にベトナム資本のコーヒー栽培と輸出は代表的な外資の成功事例となっており、コーヒー生産以外にも市場・免税店経営やインスタントコーヒー事業も展開しています。一方タイ資本の大規模なばれいしょ農場は、過度の連作で栽培が困難になり、今では雑草が生え、牛が放牧されているとのことです。

最後に、大規模丸抱え投資による国際市況品の一貫生産があります。特に北部の中国資本・南部のベトナム資本によるゴム農園経営が顕著です。南部のゴム農園は、ベトナム・ラオス両政府の協力案件として10000haもの土地にゴムの木を植えているとのことです。一方で中国資本のゴム農園投資の中には、伐採だけ済ませて一向に植林が進んでいないところもあり問題化しています。その影響もあり、現在では100ha以上の土地コンセッションが政府によって停止されています。他には、タイ資本によるさとうきび農園経営が現在進められています。収穫後全量をタイに持ち込み、タイの製糖工場にて精製する予定のようです。

その他、フェアトレードの活用も今後注目されていく可能性があります。フェアトレードとは、経済的・社会的に立場の弱い生産者に対して通常より高めの価格によって農産物取引を行い、途上国の農家の自立を促す社会運動で、多くの小規模生産者グループや貿易会社、消費者グループまで組織化された貿易システムとなっています。現在のところ一村一品運動の形で地酒・紅茶などを周辺の農家から購入し、有機認証・フェアトレードで付加価値をつけて欧州に輸出するという現地資本の成功事例が見られており、今後利潤追求だけでなく貧困削減をも目的とした新しいタイプの投資・事業の機会が拡大していく可能性があると言えるでしょう。

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引用元:
鈴木基義著『ラオス投資ガイド』日本アセアンセンター発行。2007年。p. 14, 15, 70, 71, 82, 83.
『ラオスの投資環境』国際協力銀行 2007年

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